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医師が教える薄毛やAGAの治療・対策メディア

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【医師が教える】糖尿病は薄毛を招くのか? 脱毛症と糖尿病の関係性を解説

薄毛治療

インスリンの働きが弱まることによって起こる糖尿病。さまざまな症状や合併症を併発しやすい糖尿病ですが、その一つに抜け毛の症状を訴える方がいるようです。実際のところ抜け毛と糖尿病にはどのような関係性があるのでしょうか。

今回のAGAタイムスでは、糖尿病と抜け毛の関係性についてくわしく解説していきます。

糖尿病について

まずはじめに、糖尿病がどのような病気であるのか確認していきましょう。

【糖尿病とは】

人が体や脳を動かすためには「ブドウ糖」という糖質エネルギーが必要です。ブドウ糖は血液により全身へ運ばれ、エネルギーとして消費されます。血液中のブドウ糖の量は膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンが調整しており、ブドウ糖の血中濃度(血糖値)が高くなった際は余分なブドウ糖が筋肉や脂肪に貯蔵されることで血中のブドウ糖濃度は正常に保たれています。

しかし、糖尿病になるとインスリンの分泌量が不足したりインスリンの働きが不十分になり、血中のブドウ糖濃度が高いままとなってしまうのです。

糖尿病の種類

糖尿病には1型と2型の2種類があります。それぞれの特徴をみていきましょう。

■ 1型糖尿病
膵臓でインスリンを作るβ細胞が壊れ、インスリンが十分に分泌されなくなって発症します。一般的に1型糖尿病ではβ細胞の破壊が進行するため、注射によってインスリンを補う必要があるのが特徴です。好発年齢は若年層といわれています。
1型糖尿病の主な自覚症状
  • 喉の渇き
  • 飲み物をよく飲む
  • 頻尿
  • 体重の減少
  • 疲れやすくなる
  • 意識障害(重症症状)
糖尿病で血中のブドウ糖濃度が高くなると、腎臓はブドウ糖を多量の水分と一緒に尿として排出します。結果、多尿や頻尿を招くことになるのです。また、尿の排出量が増えると体内の水分もたくさん使われるため、喉が乾きやすくなります。
体重減少も糖尿病にみられる症状です。インスリンの作用が低下することでブドウ糖を細胞に取り込めないため、脂肪や筋肉をエネルギーとして分解してしまい体重減少が生じます。また脱水も体重減少の理由の一つといえるでしょう。その他にも、易疲労感(疲れやすく感じること)や、重症な場合は意識障害が認められます。
■ 2型糖尿病
2型糖尿病は主に遺伝の影響や生活習慣が原因で、インスリンの分泌量が不足したり働きが弱まったりして発症します。1型糖尿病と比べて徐々に進行することが多く、自覚症状が少ないため気づかないうちに症状が進行してしまうことが多いという特徴を持っています。好発年齢は中高年ですが、最近では食生活の偏りや運動不足によって若年層の患者も増加傾向にあります。
1型糖尿病 2型糖尿病
発生機序 主に自己免疫を基礎とした膵β細胞破壊、HLAなどの遺伝因子に何らかの誘因・環境因子が加わって起こる。他の自己免疫疾患(甲状腺疾患など)の合併が少なくない インスリン分泌の低下やインスリン抵抗性をきたす複数の遺伝因子に、過食(とくに高脂肪食)、運動不足などの環境因子が加わってインスリン作用不足が生じて発症する
家族歴 家系内の糖尿病は2型の場合より少ない 家系内血縁者にしばしば糖尿病がある
発症年齢 小児〜思春期に多い。中高年でも認められる 40歳以上に多い。若年発症も増加している
肥満度 肥満とは関係がない 肥満または肥満の既往が多い
自己抗体 GAD抗体、IAA、IA-2抗体、ZnT8抗体などの陽性率が高い 陰性

出典:日本糖尿病学会 「糖尿病治療ガイド2018-2019」

糖尿病は自覚症状があまりなく“気づきにくい疾患”といわれています。高血糖になった際に現れる症状は普通に生活していても起こることがあるほか、人によっては全く自覚症状が出ないケースもあるため、気づかないまま進行してしまうことがあります。また前述の通り2型糖尿病は徐々に進行するため、自覚症状が出る頃には重症化し合併症を併発しているケースも稀ではありません。

糖尿病と抜け毛の関係性

糖尿病は高血圧や脂質異常症を併発している症例も多く、大血管も障害を受け、動脈硬化などを引き起こすリスクが高まります。これらの血管障害により血流が阻害されると、育毛環境にも悪影響を与える可能性があるのです。

健康な髪の毛を維持するためには、血液から運搬される栄養素が必要不可欠。また、血液によって不要な老廃物などを排出することも大切です。そのため、良好な血液循環が阻害されてしまうと健やかな育毛環境の維持が困難になり、脱毛症状につながってしまう可能性があります。

糖尿病の症状の一つとして起こりうる脱毛のメカニズムを明確に解析している研究結果は、まだありません。しかしながら、糖尿病患者において脱毛症状がみられたという症例が報告されており、相関関係をうかがい知ることはできます。

脱毛症状がある場合は、適切な治療に必要な情報として医師に伝えるとよいでしょう。また糖尿病は命に関わる危険な合併症を引き起こすことがあります。健康診断などを定期的に受け、血糖値が高くならないよう日頃から気をつけておくことが重要です。

糖尿病と脱毛症の直接的な関係性はまだ証明されていません。しかし、毛細血管のような細血管の障害が育毛状態を悪化させる可能性は充分考えられますし、運動不足や偏った食事はすべて抜け毛のリスクになります。脱毛を予防改善するためにも健康な心身維持を心がけましょう。

【糖尿病で併発する可能性のある脱毛症】

糖尿病患者の中には、脱毛症状がみられるケースも報告されています。糖尿病で併発する可能性のある脱毛症には、「円形脱毛症」「AGA」 「FAGA(FPHL)」が挙げられます。それぞれ、どのような脱毛症であるかくわしくみていきましょう。

■ 円形脱毛症
円形脱毛症は頭部に円形の脱毛がみられることが多い疾患ですが、重症例では頭部全体に脱毛が見られるパターンや全身の脱毛に至ることもある脱毛症です。発症原因は明らかにされていませんが、自己免疫疾患による免疫機能の異常が主な原因として考えられています。
◇円形脱毛症を症状の一つとする疾患や状態
C型ウイルス肝炎や慢性骨髄性白血病などの治療に用いられる「インターフェロン製剤」は、副作用として自己免疫現象を伴う場合があるとされています。そのため、薬の服用によって円形脱毛症などの副作用を引き起こす可能性があります。
◇円形脱毛症を併発しやすい疾患や状態
甲状腺機能異常、アトピー性皮膚炎、膠原病、1型糖尿病、ビタミンD欠乏、鉄欠乏 など
■ AGA(男性型脱毛症)
AGAは男性ホルモンに起因して発症する、男性特有の脱毛症です。主に頭頂部や前頭部に脱毛の症状がみられます。
◇AGAを症状の一つとする疾患や状態
副腎腫瘍、クッシング病、男性ホルモン製剤の服用 など
◇AGAを併発しやすい疾患や状態
メタボリックシンドローム、高血圧、動脈硬化、糖尿病、亜鉛欠乏 など
■ FAGA(女性男性型脱毛症)
加齢やストレスなどによるホルモンバランスの乱れが主な原因とされる、女性の薄毛です。最近ではFPHL(Female pattern hair loss)とも呼ばれ、頭部全体が薄くなるのが特徴です。
◇FAGAを症状の一つとする疾患や状態
卵巣腫瘍、多嚢胞性卵巣症候群、経口避妊薬の服用 など
◇FAGAを併発しやすい疾患や状態
高血圧、糖尿病、鉄欠乏、ビタミンD欠乏 など

糖尿病を患った場合、上記のような脱毛症状を併発する恐れがあるとされています。AGAの治療のために血液検査をしたことがきっかけで糖尿病に気づくケースもあります。

AGAを有する糖尿病患者の死亡率上昇

台湾で、5年に渡り「糖尿病と心臓病とAGAの関係について」の調査が行われました。

調査によると、完全なデータが得られた7126人の被験者(2429人の男性と4697人の女性)を57か月間追跡調査したところ糖尿病と心臓病による死者が70人確認されました。また、脱毛症状が中度~重度のAGA被験者は、脱毛症状が軽度~通常のAGA被験者と比較して「糖尿病や心臓病による死亡リスクが高い」という結果が出ました。

糖尿病患者において、AGAによる脱毛症状の進行具合は病状を知らせるサインともなります。糖尿病の疑いがある方で抜け毛や薄毛の症状がみられる場合は、適切な治療法を検討するためにも医師への現状の報告や相談を徹底することが重要です。

糖質の過剰摂取が薄毛を招く可能性も…

糖尿病に罹患していない場合でも 糖質の摂りすぎによって薄毛を招く可能性があります。それは「糖化」による老化のリスクと関連しています。

糖化は、過剰に摂取しすぎた糖質と体を構成するタンパク質が結びつき、劣化したタンパク質「AGEs(終末糖化産物)」に変化することで起こります。タンパク質と糖質を含む食品を一緒に加熱調理することでもAGEsが生成されるといわれており、摂取することでAGEsを体内に取り込んでしまう可能性があります。

AGEsは軟骨細胞などにおいて、生体内におけるさまざまな炎症症状を引き起こす原因因子の発現を強めるとされています。この炎症症状を引き起こす原因因子は、髪の毛を生成する「毛母細胞」の働きを阻害する可能性も示唆されています。

AGEsの発生を抑えるためには、糖質の過剰摂取をしないことが大切です。とはいえ、糖質は人間の体にとっては必要なエネルギー源であるため、完全に断つのではなく調理方法などを工夫してAGEsを極力増やさないよう心がけましょう。

【AGEsを増やさないために】

前述の通り、食事を作る際の調理方法を見直すことでAGEsの摂取量を抑えることが可能です。

調理法において、「生」→「蒸す・ゆでる」→「煮る」→「炒める」→「焼く」→「揚げる」の順にAGEsが増えていきます。そのため、生で食べられるものはできるだけ手を加えずに食べたり、蒸す、茹でるなどの調理法を積極的に行うようにするだけで、AGEsの摂取量を抑えることにつながります。

また、レモンに含まれるクエン酸は食品中のAGEsを減らす作用があるため、揚げ物などを食べるときはレモンを併せて摂取するなどの工夫もおすすめです。

糖尿病で薄毛が気になる方は医師に相談しましょう

薄毛の症状がみられるからといって、必ずしも糖尿病と関係しているわけではありません。とはいえ、万が一の可能性を避けるためにも気になる点がある方は早めに医師に相談するべきでしょう。

また、「糖尿病の可能性は低そうだけれど、薄毛や抜け毛が気になる」という方は、AGA治療専門クリニックの受診をおすすめします。AGAヘアクリニックでは無料でのカウンセリングや診察、完全予約制の導入、プライバシーの守られた個室でのカウンセリングなど、患者様が足を運びやすい環境を整えております。また、AGA治療だけでなく女性の薄毛に関してもご相談いただけますので、まずはお気軽にお越しください。

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